菊川市K地内 灌漑用・防災用打ち込み井戸

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今回は、実績の全く無い地域からのご依頼でしたが、周辺状況を鑑み可能性があると判断しての打ち込み井戸施工でした。

用途としては、庭木の散水と防災目的です。



以前は、この辺りでも5m程度の堀り井戸が多くあったようですが、聞くところによりますと河川改修後に枯れてしまったようです。

ご依頼主の敷地内にも堀り輪の井戸を使われていた形跡が残されていました。



海から1km以内ということもあり、砂層である予測をして網巻き鉄管加工を施しました。


一本目(5.5m)を打ち込み終わり地下水の確認をしてみましたところ、やはり染み出てくる程度しかありませんでした。



その後、2本目を打ち込み始めたところ、とても堅く容易に打ち込むことができません。





堅い地層を長時間打っていますと、肉厚が薄くなっているネジ部分が、その打撃力に耐え切れず折れてしまいます。

折れる度に溶接継ぎをしないといけないため、打ち込み効率も悪くなります。

特に堅かった5.5m~7.5m間は以前に地下水位があった場所であると予想します。

経験談になってしまいますが、地下水が低下した地層が非常に硬く締められる傾向です。


網を巻いていますので、本来ならこの大きさの砂利が上がってくるはずはないのですが、あれだけ堅い地層を打っていったので網も破れてしまったのでしょう。

スマホアプリで海抜を測定してみると、8mと記されましたので直ぐ隣の川の水面もその辺りだと判断します。








8.7mの深さに水質が良さそうな若干の地下水はありましたが、量が少ないのと合わせて自然水位が地表面から7mと低く、水深も2m無いために実用はできないと判断しました。

通常の地上汲み上げポンプですと水位が地表から7m近く低くなると理論上汲み上げが困難になってきます。

そのような場合には8m以上で問題なく汲める特殊なポンプを選定するわけですが、それには水深と水量が必要です。

もう少し、深度を増せば量も増えるのではないかと期待を込めつつ頑張ってみましたが・・・





粘土交じりの砂層に突入してしまったようです。

途中良いところも無く、最終的に16mまで打ち込みましたが完全な粘土層になってしまったために依頼主様とご相談のうえ中断を決断していただきました。

場所によって2~3mで粘土層が抜ける場所もありますが、20~30mも粘土層が続く地域も多くあります。

打ち込み井戸で、ここから先に進むことは博打性が非常に高くなってしまいます。

幾らかかってもいいので、打てるとこまで打って欲しいと頼まれても水が出なかったら意味が無いですからね。




M様 この度はご用命してくださったにもかかわらず、期待に答えることが出来ず誠に申し訳ございませんでした。

今回の貴重な経験を今後に生かせるよう精進してまいります。


打ち込み井戸は打撃に頼る特性上、比較的浅い帯水層の取水に限られます。
岩盤があったり、粘土層が厚い、地下水位が低い等の地域には向いておりません。
打ち込み井戸をご検討されている方が予め、近辺の施工実績の聞き取り調査などの下調べを入念にしていただけますと、より成功に近づくことができると思いますので、ご協力の程お願い申し上げます。